当院は、伊都橋本医療圏のがん治療を担うべく、「地域がん診療連携拠点病院」に指定されています。地域がん診療連携拠点病院とは、2次医療圏(橋本医療圏)で専門的ながん医療の提供、地域のがん診療の連携協力体制の整備、患者・住民への相談支援や情報提供などの中心的役割を担う病院として、厚生労働大臣から認定を受けた病院のことです。地域がん診療連携拠点病院は和歌山県内で5施設指定されており、地域のがん患者さんに対して、迅速かつ総合的ながん診療を提供し、患者さんをサポートしています。
当院では、がんの早期発見・診断、適切な治療、そして患者さんの生活の質の向上を目指し、がん専門の医師や看護師、放射線技師など、がん診療に精通したスタッフがチームを組んで、患者さん一人ひとりに最適な治療プランを提案しています。また、手術支援ロボット「ダヴィンチ」などの最新の医療機器や設備を導入し、高度ながん治療を行っています。当院で対応できない種類のがんや、より高次の医療が必要になった際には、都道府県がん診療拠点病院である和歌山県立医科大学附属病院や、大阪府や奈良県の高次医療機関と連携診療を行っています。
このホームページでは、診療科目や診療内容、がん診療連携拠点病院の役割やその他がんに関する当院の情報を掲載しています。ご不明な点や疑問点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。地域のがん患者さんとその家族の方々の健康と幸せを支えるために、私たちが全力でサポートいたします。
病院長 駿田 直俊
当院では、手術する部位を直接目で見てがんを取り除く「開腹・開胸手術」や、小さな穴をいくつか開け、手術する部位を腹腔鏡や胸腔鏡で見てがんを取り除く「鏡視下手術」を行っております。また、2024年4月より手術支援ロボット「ダヴィンチ」を用いた手術も行っております。ダヴィンチの詳細はこちらをご覧ください。
がん薬物療法は、手術、放射線療法と並ぶ有効な治療となります。がんの治癒や進行の抑制、症状の緩和を目的とし、抗がん剤、ホルモン療法、分子標的療法などの種類があります。抗がん剤は、細胞の増殖の仕組みに着目し、その仕組みの一部を邪魔することでがん細胞の成長や増殖を抑制します。ホルモン療法は、ホルモンの分泌や働きを妨げ、ホルモンに依存するがん細胞の成長を抑制します。分子標的療法は、がん細胞が持っている特定の分子を標的とし、がんの成長を抑制します。さらに、免疫ががん細胞を攻撃する力を保つ「免疫チェックポイント阻害薬」などの新しい薬剤も開発され、治療の選択肢も増えています。
近年はがん薬物療法による副作用を和らげる薬も進歩しており、当院では通院で治療を受けていただくことも可能です。治療法は、主治医からの説明を受けていただき、患者さんの状態やがんの種類に応じてどの薬剤を使用するのが最適であるのかを相談して決定いたします。
当院の化学療法室は、通院で化学療法等を受けていただく場所となります。入院費用を抑え、住み慣れた環境の中で、仕事や家庭生活などを継続しながら治療を行うことができます。
当院の化学療法室には医師、がん化学療法看護認定看護師、専任看護師、外来がん治療認定薬剤師、管理栄養士、メディカルソーシャルワーカーなど多くの職種が対応し、患者さんが安全かつ安心して治療が継続できるよう努めております。
現在は、ベッドが1床、リクライニングチェアが8床あり、それぞれにテレビやDVDプレイヤーを設置し、リラックスしながら治療を受けていただくことができます。また、副作用に対応できるようウィッグや帽子、マニキュアなどの展示、パンフレット等もそろえております。また、栄養補助食品等のパンフレットも用意し、必要時は管理栄養士の介入も行っています。相談は月曜から金曜の8:30~17:00の間でスタッフにお声がけください。
がんの3大治療のひとつである薬物療法は、多くの薬剤が開発され、治療も複雑化しています。がん薬物療法では副作用を伴うことも多く、自宅での副作用に関するセルフケア支援も重要な役割と考え対応しております。また、治療は長期に及ぶことも多いため、医療費に関する問題が生じる場合もあります。認定看護師として患者さんが安心して最適な治療を継続して頂けるよう、多職種と共働し心理・社会的サポートなども支援できることを心がけております。
患者さん、ご家族が納得した上で治療が受けられるよう、医師とも情報共有しながら早期介入を心がけ、信頼関係を構築し「ここで治療を受けて良かった」と思って頂けるような対応をさせていただきます。
当院は外来がん治療認定薬剤師が3名在籍しています。外来がん治療認定薬剤師とは、外来がん治療を安全に施行するための知識・技能を習得し、地域がん医療において、患者とその家族をトータルサポートできる薬剤師のことで、患者さんが薬物療法を受ける際の不安を軽減し、安心して治療を受けられるようサポートしています。
医師が抗がん薬の処方をした後、薬剤師は投与スケジュールや投与量のチェック、前回の投薬や処方の確認、服薬指導、副作用のモニタリングなどを行います。必要に応じて医師と相談し、患者さんが安心・安全な治療を受けられるようサポートします。また、患者さんに薬物療法のスケジュールや副作用について丁寧に説明し、副作用への対処方法もアドバイスします。診察前には患者の状態を詳しく聞き取り、副作用を把握し、医師に適切な処方薬を提案するなど、専門性を活かしながら日々の業務に努めています。
患者さんに安心して免疫療法を受けていただくため、伊都橋本医療圏において、「アイアイサポートチーム:伊都橋本免疫療法サポートチーム(Ito-Hashimoto ICI Support Team)」を2023年度に立ち上げました。
免疫療法は、免疫チェックポイント阻害薬という薬剤などを使用し、免疫の力を利用してがんを攻撃する治療法です。免疫チェックポイント阻害薬は、免疫細胞を活性化させ、がん細胞を攻撃する効果が期待される薬剤で、いくつかのがんには非常に効果が高く、がん診療においてとても重要な薬剤です。しかし、この治療により免疫反応が過剰になると、免疫関連の副作用(irAE)が生じることがあります。この副作用は全身の臓器に起こる可能性があるため、医療チームと患者さんが症状や検査結果を注意深く監視し、早期に対応することが重要です。副作用の代表的なものとして、①呼吸器症状、②消化器症状、③皮膚症状、④甲状腺機能異常、⑤副腎皮質機能異常、⑥糖尿病、⑦ 肝機能異常、⑧神経症状などが挙げられます。
「アイアイサポートチーム」は、橋本市民病院・和歌山県立医科大学附属病院紀北分院・医療法人南労会紀和病院の3病院が中心となって発足したチームです。医師会・薬剤師会と病診薬連携体制を構築し、免疫チェックポイント阻害薬による免疫関連の副作用(irAE)の早期発見と重症化予防を目的に、病院の垣根を越えて患者さんを支えていくシステムです。
免疫療法中または治療歴のある患者さんは、irAEと思われる症状がみられた場合、すぐに医師または薬剤師に相談してください。アイアイサポートチームが病診薬連携のもとサポートいたします。
がん薬物療法を受けられている患者さんが、当院と連携体制をとっている保険医療機関や保険薬局等において、適切な投薬管理が受けられるように、当院で実施しているがん薬物療法のレジメン一覧を公開しています。
※注意事項
橋本市民病院 薬剤部
TEL:0736-37-1200
放射線治療とは、体内のがん細胞に放射線を照射することで、遺伝子に傷を付けがんを死滅させる治療法です。放射線と聞くと怖いイメージがあるかもしれません。確かに副作用(照射部位、照射範囲にもよりますが、白血球減少、皮膚障害、吐き気、消化管障害等など)は出現する可能性がありますが、放射線治療により、がんの縮小、疼痛の減少に大きく貢献します。また、放射線を照射している部位の脱毛はおこりますが、照射していない部位の脱毛はおこりません。
放射線治療は、多種多様ながんに適用できることが特徴で、他の診療科と連携して治療を行います。がんの状態などによりますが、治療期間は2週間~3ヶ月程となります。
当院では、放射線治療医により治療内容・方針等に関して説明が行われます。その後治療計画用のCT撮影を行い、放射線を照射する範囲や方向を決定するための綿密な治療計画を立て(治療室で体勢を再現するために、体に何カ所かマーキングをします)、放射線が正しく照射できるかどうか検証用機器を用いて確認を行います。日々の治療(照射)は、専門的な知識と技術を持つ診療放射線技師により行います。
2023年2月には、放射線治療装置を更新しました。これにより、がんに集中したピンポイント照射や、照射直前に治療部位の画像を確認して照射を行うことが可能となり、より精度の高い治療が提供できるようになりました。
がん患者さんの生活機能と生活の質の改善を目標に行うリハビリテーションです。治療によりがんが治ったり、がんの症状が消失しても、二次的に起こる体力低下や運動機能の障害により、元の生活に戻ることが困難な患者さんがいます。これらの問題に対し、リハビリを行うことで運動機能の改善、疼痛の緩和、生活機能の改善を図ります。国の制度としては2010年にがんのリハビリテーションという分野が認められています。
当院では、いち早くがんリハビリテーションを開始しました。大腸がん、肺がん、食道がんなどの手術を受けられる患者さんを中心に実施しています。術前・術後の早期から介入することにより、合併症の予防や日常生活動作の獲得を図っています。飲み込む機能に問題のある患者さんには、評価を行い適切な食形態を提供しています。また、リンパ浮腫の患者さんに対して、専門職による指導や治療を行っています。
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