橋本市民病院リハビリテーション科所属の
作業療法士である佐藤将人が、このたび
「第32回総合リハビリテーション賞」を受賞しました。
この賞は、金原一郎記念医学医療振興財団が
主催し、医学書院が発行する総合誌である
『総合リハビリテーション』に掲載された論文の中で、
年に1回、最も優れた論文に贈呈されるものです。
この度、第32回総合リハビリテーション賞の受賞にあたり、2024年9月25日に行われた医学書院(東京都文京区)にて贈呈式が行われました。受賞した論文は、「急性期脳卒中片麻痺者の上肢運動障害に対する知覚探索アプローチの効果-準ランダム化比較試験」です。 この論文は、脳卒中によって身体の片側に麻痺が生じ、麻痺の影響を受けた手の運動障害に対する作業療法の効果をまとめたものです。麻痺による手の運動障害とは、思うように手が動かないことだけではなく、その手からご自身の体や環境そのものを感じることに困難性を抱えてしまいます。私たちの研究では、麻痺の影響を受けた手の機能回復のために手の繊細な感覚器官を通じて適切な知覚と運動を循環させるリハビリテーション治療を行いました。
この知覚と運動の循環とは、一つの例として机の材質を調べる課題を行うとします。その際、手は机の表面を探索するように動くはずです。一方、手を動かさず机に置いているだけではその材質はわかりません。手が動くこと(運動)によって材質を感じとること(知覚)ができます。つまり感じるために動き、動くことによって感じます。このような知覚と運動の循環は乳幼児の発達過程で経験し、日常にある道具の使用や身振り手振りなどのコミュニケーション、他者と手をつなぐといった手の様々な機能を促進させてきました。この観点からリハビリテーション治療に応用した作業療法は、従来から行われてきたリハビリテーション治療よりも麻痺の影響を受けた手の運動障害の機能回復に有効であることが示されました。
本論文の執筆にあたり多大なるご指導を賜りました広島大学リハビリテーション科の三上幸夫教授、ならびに関係する方々にこの場をお借りして御礼申し上げます。これからも対象者の方々とともに障害と対峙し合う臨床現場から社会に貢献しうる研究成果を公表できるよう、引き続き努力していく所存です。
リハビリテーション科 佐藤将人
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